「国家公務員一般職」採用試験の一次試験(筆記)に合格すると、受験生は、合同説明会や官庁訪問に参加し、志望する官庁を絞っていくことになります。
受験生の多くは、公務員になることが目標になってしまい、筆記試験対策だけに一生懸命になってしまいがちですが、どの官庁に就職するかをもっと考えるべきです。
公務員にはさまざまな職種や組織があり、それぞれの職場によってまったく違った特徴があります。中には、民間企業顔負けのブラックな職場だってあります。
人生の大部分を過ごす予定の職場です。「自分が何をしたいのか」も大事ですが、残業や転勤などの勤務実態も合わせて検討し、どの官庁で働くかを決めましょう。
今回は、検察事務官から見た「地方検察庁」の職場実態を紹介します。
これらの情報は、個人的に、現役やOBなどの関係者から聞いた生の声です。
合同説明会や官庁訪問ではしょせん上っ面しか見えません。
地方検察庁は果たしてブラックなのかホワイトなのか、なかなかわからない本当の姿をお話しします。
地方検察庁に入るためには
地方検察庁に入るためには、「国家公務員一般職」採用試験に合格し、地方検察庁の採用面接を受けて内定をもらわなければなりません。
手続きの流れを示せば、以下のとおりです。
地方検察庁ってブラックなのかホワイトなのか
地方検察庁とは?
検察庁の組織構成は、裁判所の本庁・支部に対応しています。
- 最高検察庁(最高検)は、最高裁判所に対応して設置されています。
- 高等検察庁(高検)は、高等裁判所に対応して設置されています。全国に8庁(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡)あります。
- 地方検察庁(地検)は、地方裁判所と家庭裁判所に対応して設置されています。全国に50庁あります。
- 区検察庁(区検)は、簡易裁判所に対応して設置されています。全国に438庁あります。
国家一般職試験で採用される検察事務官は、地方検察庁で採用されます。
主な業務として、警察から送致された事件に対し、捜査を行い、公訴を提起するか否かを決定し、公訴提起(起訴)した場合には、裁判所が公正かつ適正な法適用を行うための訴訟活動を行います。
地方検察庁って残業は多いの?
検察事務官と聞けば、検察官と二人三脚で、被疑者の取り調べや裁判などを行う仕事をイメージする方が多いと思います。
このTVドラマなどでよく見かける訴訟・公判部門では、残業も多くあり、休日出勤もあるなど相当忙しいです。
ただし、他にも検務部門(証拠品の管理)や事務局部門(庶務や経理)などがあり、中には暇な部署もあるそうです。
近年では、地方検察庁でも、働き方改革やワークライフバランスが重視されています。特に、2019年度から残業時間の上限(月45時間・年360時間)が定められたことから、残業を減らす取り組みを進めています。
地方検察庁では転勤はあるの?
地方検察庁には多くの出先機関(支部)があるので、必然的に転勤はあります。
職員はだいたい2~3年ごとに転勤します。
ただし、他官庁に比べれば、家庭環境など本人の希望を考慮してくれる方だそうです。
その他の地方検察庁の口コミ情報
- 正義感が強い人にとっては天職です。
- 特に東京・大阪・名古屋に設置されている特別捜査部(いわゆる特捜部)では、TVニュースになるような社会的関心が大きい事件を扱えるので、やりがいがあるそうです。
- あくまで検察官中心の職場で、年齢を問わず検察官とは明確な立場の違いがあるので、コンプレックスを感じることが多いそうです。
- 検察事務官には、副検事から検察官に登用される内部試験があります。相当に難関ですが、頑張れば、司法試験を受けずに検事になれるかもしれません。
まとめ
以上、国家公務員一般職(いわゆるノンキャリ)の人気官庁「地方検察庁」の職場実態を紹介しました。
現役やOBなど多くの関係者から個人的に聞いた生の声であり、これがたぶん地方検察庁の本当の姿でしょう。
転勤や残業、仕事内容などから、地方検察庁の良い面も悪い面も紹介できたと思います。
地方検察庁を志望するかどうかは、これらの実態も合わせて検討して決めましょう。