「国家公務員一般職」採用試験の一次試験(筆記)に合格すると、受験生は、合同説明会や官庁訪問に参加し、志望する官庁を絞っていくことになります。
受験生の多くは公務員になることを目標にしており、筆記試験対策だけに一生懸命になってしまいがちです。
しかし、どの官庁に就職するかをもっと真剣に考えるべきです。
公務員にはさまざまな職種や組織があり、それぞれの職場によってまったく違った特徴があります。中には、民間企業顔負けのブラックな職場だってあります。
「自分が何をしたいのか」も大事ですが、残業や転勤などの勤務実態も合わせて検討し、どの官庁に行くかを決めましょう。
今回は、国土交通事務官から見た「地方整備局」の職場実態を紹介します。
これらの情報は、個人的に、現役やOBなどの関係者から聞いた生の声です。
合同説明会や官庁訪問ではしょせん上っ面しか見えません。
地方整備局は果たしてブラックなのかホワイトなのか、なかなかわからない本当の姿をお話しします。
地方整備局に入るためには
地方整備局に入るためには、「国家公務員一般職」採用試験に合格し、地方整備局の採用面接を受けて内定をもらわなければなりません。
手続きの流れを示せば、以下のとおりです。
地方整備局ってブラックなのかホワイトなのか
地方整備局とは?
地方整備局は国土交通省の地方出先機関の一つです。
全国に8地方整備局(東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州)があり、国家公務員一般職試験の合格者は、試験を受けた地方の地方整備局の採用面接を受けることができます。
なお、北海道や沖縄は地方整備局の管轄ではなく、それぞれ北海道開発局や沖縄総合事務局の管轄になります。
直轄国道・一級河川・ダム・砂防・港湾の整備と維持管理、建設業・不動産関連業の許認可などの業務を行っています。
地方整備局って残業は多いの?
ハッキリ言って残業は多いです。
その証拠に、合同庁舎には多くの官庁が入居していますが、地方整備局のフロアの電気が夜遅くまで消えないことから「不夜城」と呼ばれているほどです。
しかし、他の多くの官庁のように残業手当に上限は定められていないので、やればやっただけ満額支給されます。なので給料は多いです。他の官庁の同年代と比べても、給料はたぶん圧倒できます。
お金が大事か時間が大事か、このへんは人それぞれだと思います。
しかし、近年では、地方整備局でも、働き方改革やワークライフバランスが重視されています。特に、2019年度から残業時間の上限(月45時間・年360時間)が定められたことから、残業を減らす取り組みを進めています。
地方整備局では転勤はあるの?
地方整備局には多くの出先機関(事務所や出張所)があるので、必然的に転勤はあります。
職員はだいたい2~3年ごとに転勤しています。
しかも、県を超えた広いエリアで転勤することが多く、単身赴任もあるそうです。
広いエリアの転勤を前提にすると、マイホーム購入など生活基盤を定めるタイミングが難しくなります。
同じく転勤事情の悪い運輸局から見ても、出先機関の数が多い地方整備局に比べれば、運輸局の方がマシだそうです。
よって、地方整備局の転勤事情は、もっとも条件の悪い官庁の一つだと思います。
その他の地方整備局の口コミ情報
- 日々の仕事の成果として、水害を防ぐダムや堤防、渋滞を解消する道路などが目に見える形になって実現するので、仕事にやりがいがあるそうです。
- 常に予算や供用開始時期に追われて忙しいというイメージです。
- 特に忙しいのが道路で、忙しい順で言えば、道路>河川>港湾だそうです。
- 公共事業では地元や個人と協議する機会も多く、許認可等の窓口業務もあります。時にはクレーマーの相手をしなければなりません。
- 近年は、自衛隊のような災害時に活躍する官庁になることを目指していて、「TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)」を組織し、被災地の支援に職員を派遣しています。
まとめ
以上、国家公務員一般職(いわゆるノンキャリ)の人気官庁「地方整備局」の職場実態を紹介しました。
現役やOBなど多くの関係者から個人的に聞いた生の声であり、これがたぶん地方整備局の本当の姿でしょう。
転勤や残業、仕事内容などから、地方整備局の良い面も悪い面も紹介できたと思います。
地方整備局を志望するかどうかは、これらの勤務実態も合わせて検討して決めましょう。