FXでも株でも、私たち投資家は合理的な行動ができずによく失敗します。
この合理的でない心理や心理のワナの回避策は、人間の行動の不合理さに着目した行動経済学から学ぶことができます。
流行という大勢の判断
少し前、仮想通貨のビットコインや高金利通貨のトルコリラが高騰したとき、
やれ投資ブームだの、
やれみんな大儲けして「億り人」になっただの、
さまざまなニュースがメディアで取り上げられ、まさにブーム(流行)でした。
そんな流行に、つい流されてしまった方もたくさんいると思います。
あなたは流されませんでしたか?
私はキッチリ流されました。
みんながやってるから、乗り遅れないようにとの焦りから、つい仮想通貨に手を出していました。
あまり理解できていなかったので、ほんの少額しか突っ込みませんでしたが。
流行が持つ、熱量というか、影響力はすごいです。
私の周りでも、普段は投資にまったく関心のない人や、リスクを抑えた投資を好む人まで、みんな手を出していました。
ビットコインにしてもトルコリラにしても、どちらも投資対象としては相当にハイリスクなのにです。
ニュースで騒がれたすぐ後に、仮想通貨もトルコリラも見事に暴落しましたので、手を出した方々はさぞひどい目にあわれたことでしょう。
実際、私はひどい目にあいましたから…
流されやすい心理~バンドワゴン効果~
なぜ、私たちは、普段ならまったく興味のない投資であっても、流行のような大勢の判断に安易に流されてしまうのでしょう?
人間は必ずしも合理的に行動できないからです。
その理由は、行動経済学の「バンドワゴン効果」で説明できます。
行動経済学の「バンドワゴン効果」の意味
行動経済学とは、人間が必ずしも合理的に行動しないことに着目し、これまでの経済学では説明できなかった経済行動を心理学的な観察から説明しようとする新しい経済学です。
ちなみに、語源は、バンドワゴン、すなわち、欧米のパレードやマーチングの先頭を行く楽隊車のことで、「バンドワゴンに乗る」とは、大衆にくみする、勝ち馬に乗る、時流に乗るといった意味を持ちます。
特に、日本人は協調性を大事にすることから、「バンドワゴン効果」が働きやすく、流行に流されやすいと言われます。
ソロモン・アッシュの同調実験
「バンドワゴン効果」の有名な実験として、ソロモン・アッシュの同調実験があります。
約30人が実験室に集められました。
実は、この30人のほとんどは「サクラ」で、被験者は一人だけです。
実験の内容は、提示されたカードに描かれた線を見て、別のカード群の中から同じ長さの線が描かれたカードを選ぶというものでした。
すると、被験者は、明らかに線の長さが異なるカードを、違うとわかっていても、大勢が「線の長さが同じ」と答えると、それに同調してしまうことがわかりました。
この実験結果から、人間は、合理的ではないとわかっていても、大勢の判断や選択に流されてしまうことがわかります。
日常生活でのバンドワゴン効果
「バンドワゴン効果」は、恋愛でも日常生活でもよく見られます。
例えば、あるラーメン屋に初めて行ったとします。
そこで出てきたラーメンを食べてみて「不味い…」と思ったとても、周りの大勢の客が「おいしい!」と言っていれば「おいしいのかな?」という気がしてきます。
FXとバンドワゴン効果
FXでも、冒頭のような流行が起こったときに「バンドワゴン効果」を確認できます。
例えば、ある通貨ペアが急騰したとします。
それを見ていた市場参加者は、「バンドワゴン効果」によって、大勢の判断だと思ってどんどん新規参入してくることになり、その通貨ペアはさらに急騰します。
さらに「バンドワゴン効果」は続き、それを見ていた他の人々も新規参入し、流行は加速していきます。
しかし、ある程度まで急騰すると、最初から参加していた人々は、すでに十分な利益をあげているので、頃合いを見て撤退していきます。
そして、ある瞬間に暴落が始まり、流行に流されて後から参加した人や逃げ遅れた人は大きな損失をこうむることになってしまうのです。
バンドワゴン効果の回避策
では、流されやすい私たちは、一体どうすればいいのでしょう?
まずは、自分の心理に「バンドワゴン効果」が働いていると自覚することです。
この記事を読んだあなたは、今後もし、みんなしてるからと、安易に流行に乗ってしまいそうになったとき、
「これがバンドワゴン効果ってやつか~。」
と自覚できるでしょう。
自覚しさえすれば、自分の心理にいったんブレーキをかけることができるはずです。
自覚した上で、もう一つ別の判断基準(しかも客観的で信頼できる判断基準)を与えてやれば、大勢に同調して流されただけの判断にストップをかけることができます。
おすすめの方法があります。
FXでエントリーの判断をするときは、たいていチャートを見ているときです。
ならば、同じチャート上に、もっと客観的で信頼できる判断基準、つまり、自分が信頼するテクニカル指標を表示するのです。
例えば、オシレータ系指標のRSIなどは、流行の過渡期には「売られすぎ」のサインが出ます。
まとめ
私たち日本人は、特に大勢の判断に安易に流されやすいです。
対策としては、まず、自分の心理に「バンドワゴン効果」が働いていると自覚することです。自覚すれば、自分の心理にブレーキがかかります。
自覚した上で、同じチャートに、テクニカル指標による客観的で信頼できる判断基準を一緒に表示させることにより、大勢に同調して流されただけの判断にストップをかけることができます。
このような合理的な行動こそ、FXで安定的に利益をあげ続けるコツなのです。