FXでも株でも、私たち投資家は、合理的な行動ができずによく失敗します。
この合理的でない心理や、そんな心理のワナにはまらないための対策は、人間の行動の不合理さに着目した行動経済学から学ぶことができます。
成功は自分の力、失敗は他人のせい
こんな人いませんか?
トレードで勝ったときは、「自分だから勝てた」「自分にはセンスがある、才能がある」と自分への拍手喝さいを惜しまない人。
それなのに、負けたときは、「今回はたまたまついてなかった」「あんな相場は誰も予想できないから仕方がない」と言い訳ばかりの人。
あ、私でした。
あなたは大丈夫ですか?
こんな考え方をしていては、きっと、いつか大きな失敗をしてしまいます。
失敗したときに自省できない心理~自己奉仕バイアス~
どうして私たちは、失敗したときに、外部の失敗要因ばかりを集めてしまい、自分を省みることができないのでしょう。
人間は必ずしも合理的に行動できないからです。
自省できない心理は、行動経済学の「自己奉仕バイアス」で説明できます。
行動経済学の「自己奉仕バイアス」の意味
行動経済学とは、人間が必ずしも合理的に行動しないことに着目し、これまでの経済学では説明できなかった経済行動を心理学的な観察から説明しようとする新しい経済学です。
分かりやすく言えば、成功は自分の手柄で失敗は他人のせいだとする考え方です。
「自己奉仕バイアス」は、人間がもともと持っている基本的な思考だと言われています。
「自己奉仕バイアス」にはさまざまな発生原因がありますが、主に、自分のプライドを維持したい、他人に好印象を与えたい、そんな心理にあると言われています。
自己奉仕バイパスへの戒め(byマクスウェル)
リーダーシップ論の権威であるジョン・C・マクスウェルは、「自己奉仕バイパス」を戒める詩を著書に載せています。
人が時間をかけるのは、要領が悪いから
自分が時間をかけるのは、丹念にやっているから
人がやらないのは、怠慢だから
自分がやらないのは、忙しいから
言われていないことを人がやるのは、でしゃばりだから
言われていないことを自分がやるのは、積極的だから
人がルールを守らないのは、恥知らずだから
自分がルールを守らないのは、個性的だから
人が上司に受けがいいのは、おべっか使いだから
自分が上司に受けがいいのは、協力的だから
人が出世したのは、運がよかったから
自分が出世したのは、頑張ったから
…耳が痛いです。
日常の自己奉仕バイアス
「自己奉仕バイアス」は、学校や職場など日常のさまざまな場面でみられます。
例えば、会社の人事査定です。
査定が良かった社員は「自分は仕事ができるからだ」と思い、査定が悪かった社員は「上司に嫌われているからだ」と思うような状況です。
FXと自己奉仕バイアス
冒頭の、FXで負けたときに自省できない心理には、まさに「自己奉仕バイアス」が働いています。
FXでは、誰でも、勝つときもあれば負けるときもあります。
大事なのは、負けたときこそ、自分と向き合って負けた原因を突き止め、同じ過ちを繰り返さないよう自省することです。
負けたときに自省しなければ、経験や知識が蓄積されず、いつまでたっても初心者同然です。
負けたときに自省してこそ、
前回の小さな負けのときに、自分の戦略のまずさ、判断の悪さに気付いたおかげで、今回の大暴落で同じ過ちを繰り返さなくて済んだ。
となるのです。
自己奉仕バイアスを回避する方法
「自己奉仕バイアス」を回避するためにはどうすればいいのでしょうか。
まずは、自分の心理に「自己奉仕バイアス」が働いていると自覚することです。
この記事を読んだあなたは、今後、もし 負けた理由を外部に求めそうになったとき、
「これが自己奉仕バイアスってやつか~。」
と自覚し、自分の心理にブレーキをかけることができるでしょう。
自覚した上で、以下のような思考を重ねるルーチンをあらかじめ作っておくのです。
「判断が正しかったとする自分の主張に弱点はないか?」
「外部要因は回避不可能だったのか?」
このような思考ルーチンを行えば、「自己奉仕バイアス」を回避することができます。
まとめ
私たちの心理には、無意識のうちに「自己奉仕バイアス」が働き、負けた理由を外部に求めがちです。
負けたときに自省するためには、まずは自分の心理に「自己奉仕バイアス」が働いているとを自覚することです。自覚すれば、自分の心理にブレーキがかかります。
自覚した上で、あらかじめ作っておいた思考ルーチンを行うことにより、「自己奉仕バイアス」から逃れることができます。
このような合理的な行動こそ、FXで安定的に利益をあげ続けるコツなのです。