FXでも株でも、私たち投資家は、合理的な行動ができずによく失敗します。
この合理的でない心理や、そんな心理のワナにはまらないための対策は、人間の行動の不合理さに着目した行動経済学から学ぶことができます。
確率論を無視した根拠のない思い込み
あなたは、こんな思い込みをした覚えはありませんか?
① ある通貨ペアが連日上昇し続けているときに、「そろそろ下落するだろう」
② トレードで負けが続いているときに、「次こそは勝てるだろう」
私はあります。それも何回も。
確率論の話であり、これらの思い込みには、合理的に説明できる根拠は何もありません。
ましてや、私の負けが何回続こうが、世界規模で取引される為替相場の動きには何ら影響しません。
冷静に考えれば、誰にだってわかることです。
根拠のない思い込みをしてしまう心理~ギャンブラーの誤謬~
私たちは、相場の動きについて、確率論を無視し、何の根拠もないのに、なぜ勝手な思い込みをしてしまうのでしょう?
それは、人間は必ずしも合理的に行動できないからです。
このような思い込みをしてしまう心理は、行動経済学の「ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)」で説明できます。
行動経済学の「ギャンブラーの誤謬」の意味
行動経済学とは、人間が必ずしも合理的に行動しないことに着目し、これまでの経済学では説明できなかった経済行動を心理学的な観察から説明しようとする新しい経済学です。
コイン投げゲーム
「ギャンブラーの誤謬」は、よくコイン投げゲームで説明されます。
コインを投げて裏か表かを当てるゲームをします。
確率上は、表が出る確率も、裏が出る確率も、同じ1/2です。
しかし、今、7回投げてすべて表ばかり出続けているとします。
すると、次の回は、多くの人が「そろそろ表が出るだろう」と予想するようになります。
このような予想をしてしまう心理が「ギャンブラーの誤謬」なのです。
FXとギャンブラーの誤謬
FXなどの投資は、その構造から、コイン投げゲームと同様に「ギャンブラーの誤謬」におちいりやすいと言われています。
今、ある通貨ペアが連日上昇し続けている状況にあるとします。
このような場合、ほとんどの投資家の心理は、無意識に「ギャンブラーの誤謬」におちいり、合理的な根拠がないのに「そろそろ下がるだろう」と思い込むようになります。
この確率論を無視した思い込みによって、急いでショートポジションを構えてしまう投資家もいるでしょう。
しかし、相場が下がると判断した理由は、ただの思い込みですから、もしショートポジションを構えていれば、さらに相場が上がって損をするということがあるのです。
根拠のない思い込みを回避する方法
それでは、私たちは、どうすれば根拠のない思い込みを回避することができるのでしょう?
まずは、自分の心理に「ギャンブラーの誤謬」が働いていると自覚することです。
この記事を読んだあなたは、今後、もし根拠のない思い込みからポジションを構えてしまいそうになったとき、
「これがギャンブラーの誤謬ってやつか~。」
「確かに、根拠なく勝手に思い込んでるわ」
と自覚し、自分の心理にブレーキをかけることができるでしょう。
自覚した上で、根拠のない判断をしてしまう場面で、もう一つ別の判断基準(しかも客観的で信頼できる判断基準)を与えてやれば、その判断にストップをかけることができます。
おすすめの方法があります。
「そろそろ」とか「次こそ」と根拠なく思い込み、エントリーの判断をするときは、だいたいチャートを見ているときだと思います。
であれば、その同じチャート上に、もっと客観的で信頼できる判断基準を表示すればいいのです。
つまり、同じチャート上に、移動平均線でも、MACDでも、RSIでも何でもいいので、自分が信頼するテクニカル指標とそのエントリーサインを表示するのです。
まとめ
人間は、無意識に「ギャンブラーの誤謬」におちいってしまうので、「そろそろ」や「次こそ」などの勝手な思い込みだけでエントリーしてしまいがちです。
そうならないために、まずは、「ギャンブラーの誤謬」という自分の心理状態を自覚することです。自覚すれば、自分の心理にブレーキがかかります。
その上で、同じチャートに、テクニカル指標による客観的で信頼できる判断基準を一緒に表示させれば、勝手な思い込みだけの判断にストップをかけることができます。
このような合理的な行動こそ、FXで安定的に利益をあげ続けるコツなのです。