管理業務主任者試験は、毎年多くの受験生が集まる不動産関連の人気資格です。
医者や弁護士と同じ業務独占資格ということで人気があり、学生・社会人・主婦など属性や性別を問わず毎年多くの受験生が集まります。
特に最近では女性人気も高まってきています。
でも本当のところ、管理業務主任者とは? 就職や転職に役に立つのか? 儲かるのか? 将来性は? 仕事内容や勤務条件は? 次のステップは?
アラフィフリーマンの私には、さまざまな業界に多くの知人がいますし、中には人事担当者もいます。
彼らから直接聞いた企業の本音をご紹介します。
管理業務主任者とは
「管理業務主任者」は、平成13年8月1日施行の「マンション管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」で定められた比較的新しい国家資格です。
よく似た資格に「マンション管理士」がありますが、こちらは住民側の管理組合のコンサルタントであり、マンションの管理会社側の専門職である「管理業務主任者」とは立ち位置が異なります。
管理業務主任者になる方法
管理業務主任者として独占業務を行うためには、以下の手続きを経なければなりません。
管業試験合格 | ⇨ | 主任者の登録申請 | ⇨ | 主任者証の交付申請 | ⇨ | 主任者証の交付 |
管理業務主任者試験に合格しただけでは、単なる「試験合格者」にすぎません。
管理業務主任者証の交付を受けてはじめて「管理業務主任者」として業務に従事することができます。
管理業務主任者試験とは?
受験資格: | 年齢や学歴を問わず誰でも受験可 |
申込期間: | 通常、9月頭~9月末 |
試験日程: | 通常、12月の第1日曜日 |
試験会場: | 全国8地域(北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県) |
合格発表: | 通常、1月 |
難 易 度: | 出題範囲がほぼ同じマンション管理士試験と比べると簡単な試験です。 とは言っても、マンション管理に関する幅広く深い知識が問われる試験ですから、なめてかかるわけにはいきません。 |
主任者の登録申請とは?
管理業務主任者試験の合格者は、住所地を管轄する各地方整備局長等の登録を受けなければなりません。
登録申請するためには、以下の要件を満たす必要があります。
① 管理業務主任者試験に合格していること
② 欠格要件に該当しないこと
③ 2年以上の実務経験があること(または実務講習を修了していること)
なお、資格登録は任意です。管理業務主任者として業務に従事する予定がなければ登録の必要はないですし、登録を受けなくても合格を取り消されることはありません。
また、主任者証には有効期間(5年)があり、有効期間が満了する前に更新申請を行う必要があります(満了後であっても新たな主任者証の交付申請は可能です)。
就職や転職に役立つ資格か?
簡単に取れる資格はその多くが何の役にも立たないゴミのような資格だったりしますが、果たして管理業務主任者は本当に就職や転職に役立つ資格なのでしょうか?
管理業務主任者は、マンション管理業者の事務所ごとに30管理組合につき1名以上の設置義務があります。
また、管理業務主任者でなければ行ってはならない独占業務に、管理受託契約に関する重要事項説明と管理事務報告があります。
これら法定の設置義務と独占業務により、管理業務主任者には常に安定した求人があります。最近は女性の求人も増えてきています。
試しに「ハローワークインターネットサービス」で求人情報を調べてみたところ、令和3年3月某日に管理業務主任者資格を応募条件にした求人は237件ありました。
そのほとんどが正社員としての募集です。
多くの企業に求められる管理業務主任者は就職・転職・キャリアアップに役立つ資格であると言えます。
管理業務主任者の将来性
次に気になるのは将来性ですが、管理業務主任者は非常に将来性の高い資格だと言われています。
と言うのも、今日、マンション管理に関しては多くの問題が山積しています。
- 老朽マンションが急増しており、マンションの老朽化対策が大きな問題となっています。
- 旧耐震基準(阪神淡路大震災前)で建設されたマンションが約104万戸(マンション全体の約16%)もあり、その多くが耐震診断や耐震改修工事が未実施の状態であり、大きな問題となっています。
- 居住者の高齢化や管理組合活動への無関心化により、管理組合の維持・運営が難しくなってきています。
- 集合所有形態であるマンションには、戸建て住宅とは異なるさまざまな問題があります。特に古いマンションの空室問題が年々深刻化しています。
これらの問題は今後の日本社会の大きな課題になると言われています。
マンション管理のマネジメント業務を担う管理業務主任者に対する社会のニーズは、今後ますます大きくなると見込まれており、将来、人気資格になると言われています。
仕事内容と勤務条件
以下は、不動産管理会社での管理業務主任者の仕事内容の一例です。
- 新規管理マンションの管理企画・立案
- 分譲マンション管理・運営サポート
- 生活改善や修繕工事の提案
- フロント営業(担当物件は10件前後)
デスクワークだけではなく適度に外回りもあるため、じっとしているのが苦手な人にとって適職だと思います。
また、管理組合の理事会や総会はだいたい休日に開催されるものなので、休日出勤もあります。
待遇面では、多くの会社で管理業務主任者資格の保有者に資格手当を支給しています。昇給の条件にしている会社もあります。
他資格へステップアップ|宅建士・マン管・不動産鑑定士
管理業務主任者は多くの資格と高い関連性があるので、組み合わせて資格を取得することで更なるキャリアアップが望めます。
以下のような、管理業務主任者試験で学習した知識を生かしたステップアップがおすすめです。
宅建士・マンション管理士とのダブル・トリプルライセンス
宅地建物取引士・マンション管理士・管理業務主任者の3資格は、いずれも毎年多くの方が受験する不動産関連の人気資格です。
実はこれら3資格の試験には共通する部分が多くあります。
特に出題科目の多くが重なっているので、管理業務主任者の試験勉強をすれば、同時にマンション管理士と宅建士の試験勉強もしていることになるのです。
また、管理業務主任者試験の合格者はマンション管理士試験の一部(マンション管理適正化法の5問)が免除されます。
効率よく勉強すれば、わずか半年でトリプルライセンス取得も十分に可能です。
見事達成すれば、不動産分野の国家資格を3つ所有することになり、社内外で希少な不動産分野のスペシャリストであるとアピールできます。
不動産鑑定士にステップアップ
不動産鑑定士は、不動産の適正な価格を判断できる唯一の国家資格であり、不動産系資格の最高峰です。
不動産鑑定士は、司法試験、公認会計士とともに「国家三大資格」と呼ばれるステータスの高い資格です。
不動産鑑定士の魅力の一つとして、定期的に地価公示などの公的機関からの仕事があります。そのため好不況に左右されない安定性があります。
難関資格の不動産鑑定士ですが、実は管理業務主任者試験で学習した知識は、不動産鑑定士の試験科目「短答式試験(行政法規)」と「民法」の学習において大きなアドバンテージになるので、管理業務主任者の試験勉強をすれば、同時に不動産鑑定士の試験勉強もしていることになるのです。
したがって、他の受験生よりも断然有利な位置から受験勉強をスタートできます。
まとめ
以上、管理業務主任者について関係者から直接聞いた企業の本音をご紹介しました。
管理業務主任者は就職・転職・キャリアアップに役立つ資格です。
事実、法定の独占業務や設置義務により安定的に多くの求人があります。
さらに今後ますます社会のニーズが高まると見込まれており、人気資格になるといわれています。
また、他資格へステップアップすることも可能です。
多くの資格と高い関連性を持つ管理業務主任者ですが、特に試験の出題科目の多くが重なる宅建士・マンション管理士・不動産鑑定士は、他の受験生よりも断然有利な位置から受験勉強をスタートできます。
結論として、管理業務主任者は目指す価値のある資格であると言えます。
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